朝倉さやと三波春夫とハウスミュージック
- Takeda Hirotsugu
- 2017年7月27日
- 読了時間: 2分
最近、朝倉さやが話題になっているようです。民謡のコンテストで日本一を2回受賞していて、声の良さを生かしてというか声の良さに任せてというか、まあ色々やっちゃってます。
昔のヒット曲を山形弁でカバーしたシリーズとかもいいんですが(『木綿のハンカチーフ』なんて標準語で歌うより方言で歌った方が説得力ありますからね)、やっぱり彼女の魅力が一番はっきりわかるのは民謡を現代風のダンスミュージックにアレンジしたシリーズだと思います。
実は、こういう試み自体は90年代にもあって、なんと三波春夫がやっちゃってるんですよね。なんでも、最初は三波春夫の曲をハウスリミックスする企画だったらしいんですが、話を聞いた三波春夫が「ハウスだとビートが合わないだろうから歌い直そう」と言い出して、アルバム一枚全部新録になったという『オマンタせしました! HARUO IN DANCE BEAT』というアルバムがリリースされました。残念ながら現在は廃盤になってますが、 やっぱり御大自ら歌い直しただけあってすごく中身の濃いアルバムだったんです。
だけどこのアルバム、あんまり売れませんでした。それは「三波春夫」の逆ネームバリューというのか、当時の若者文化の割と先っぽの方にあった「ハウス」というジャンルに似つかわしくない印象があったせいじゃないかと思います。
あの古臭い大物歌手が本気でハウスビートに合わせて歌ってるなんて誰も思わなかったでしょうし、やっぱりどこかイロモノっぽさ強かったんだと思います。そういう点では、朝倉さやの曲の方が練れてる感じがします。
朝倉さやのプロデューサーが、三波春夫がかつてこういうアルバムを出していたことを知っていたのかどうかわかりませんが、90年代に蒔かれた種が、20年以上の時間を経て新しい世代へと受け継がれたということなのかも知れません。
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