私的韓国ガールズグループヒストリー 1
- Takeda Hirotsugu
- 2017年8月29日
- 読了時間: 3分
韓国には山ほどガールズグループがいますが、一番最初に成功したのはS.E.S.でした。SMエンターテインメントの所属で、後の少女時代やf(x)、最近だとRedVelvetの大先輩にあたります。最初から海外進出を視野に入れて結成されたグループで、韓国育ちのパダを中心に、グアム育ちのユジン、日本育ちのシューで構成された三人組です(パダは韓国語で「海」のことなので、これを英語表記にしたSea、Eugene、Shooの頭文字をとってS.E.S.)。
彼女たちは97年にデビューして、98年には日本進出を果たしていたんですが、まだK-POPを受け入れる下地がありませんでしたし、当時の韓国人歌手にはつきものだった「つ」の壁(日本語の「つ」が「ちゅ」になってしまう)もあったため、余り売れませんでした。
この「つ」の壁って案外大きいと思うんですよ。例えば、「愛し続ける」とかそういうフレーズが「愛しちゅじゅける」に化けてしまうので、真面目な歌詞がギャグみたいに聞こえるという現象が起こります。僕はS.E.S.のファンですが、それでもこの現象はさすがにちょっと厳しかったですね。
そして、日本での活動にばかり力を入れていたことが韓国のファンの反感を買い始めたこともあり、彼女たちは大きなヒットも無いまま2000年に日本から撤退、更に2002年には解散してしまいます。
その後、SMエンターテインメントはS.E.S.の失敗を生かしてBoAを送り出し、更に東方神起や少女時代を成功させましたが、BoA以降の世代はみんな「つ」の壁を克服し、日本語力もかなり高くなっていました。もちろん、言葉の壁を乗り越えただけで成功できるような世界ではないですが、そこを乗り越えていないと、非常に苦しい勝負を強いられることだけは確かだと思います。
何事もパイオニアには苦労がつきものですが、失敗に終わったにしろ彼女たちが日本で頑張ったことが、その後の少女時代やKARAの成功に繋がったというわけです。
それから14年。2017年、S.E.S.は再結成しました。
ソロ歌手として活動していたパダ、女優に転向して成功したユジン、結婚して三児の母となったシュー。再結成の噂自体はそれこそ解散直後からあったものの、それぞれの結婚や出産の関係もあって、なかなか実現しませんでした。それがデビュー20周年を機にようやく実現したというわけです。何でも、再結成コンサートのチケットは発売からわずか2分で売り切れてしまったそうです。ファンはみんな彼女たちが帰って来るのを待ち望んでいたということでしょうね。曲中のシューのラップにある「we are still dream team」というフレーズはかつてのS.E.S.ファンに対するこの上ないプレゼントでした。
ひとりだけ独身だったパダも今年結婚しましたし、ユジンもシューも子供がまだ小さいですから、昔のようにフルタイムで活動することは難しいようですが、2年に一回くらいでもいいので新曲を出し続けてくれると嬉しいんですけどね。
Comentarios