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韓国の「シブヤケイ」の話 その3

  • 執筆者の写真: Takeda Hirotsugu
    Takeda Hirotsugu
  • 2017年9月11日
  • 読了時間: 3分

またまた前回の続きです。

かくして地道に新しい音楽を模索していた若手ミュージシャンたちがにわかに注目を浴びることになったわけですが、まあその数の多いこと多いこと。

ただし、何回も繰り返し聴きたくなるような曲を出していたのはごく一部でしたし、その後もコンスタントにアルバムをリリースしたミュージシャンは数えるほどしかいなかったんですよね。

はっきり言っちゃえば、「新鮮だったけど使い捨て」の音楽が量産されたとも言えるかも知れません。

まずは「使い捨て」じゃなかった方からご紹介します。

Peppertonesの『Ready, Get Set Go』。この曲が収録されている彼らのファーストアルバムは日本でも人気があって、一時オークションでも1万円とか2万円とか凄い値段がついていました(韓国ではCDが再プレスされるということがまずないので、買い逃すと二度と手に入らないことがよくあります)。Amazonのマーケットプレイスでは未だに3万円以上で出品されています。

2014年に公開された映画『怪しい彼女』のクライマックスでかかる曲は完全にこの曲を意識して作られているんですが、それくらいインパクトがあったということでしょうね。Peppertonesはギターとベースの二人組ですが、この当時彼らはまだ20代前半でした。この作曲能力はちょっと凄いと思います。

この曲はビデオもいいですよ。

次は完全に使い捨てというか一発屋の例ですね。

Garina Projectの『Tell me, Tell Me』です。

リリースするにあたって原曲を大幅に修正させられたらしく、事務所と契約解除後にDelightと名前を変えてオリジナルバージョンをリリースしたんですが、「うーん、修正版の方が良かったんじゃない?」っていう感じでした。グループ自体は存続しているようですが、かなり雰囲気は変わってますね。

この頃の「シブヤケイ」は、CMや企業タイアップで知名度が上がったケースも多かったんですが、若者をターゲットとして新しい市場を生み出そうという動きに、彼らの音楽がマッチしたというのもあったんだと思います。鶏が先か卵が先かみたいな話ではありますが、PeppertonesもGarina ProjectもCMで使われていました。

次に紹介する、Caskerの『Ela』は業界横断的に展開された「チカロカ」というプロジェクトのイメージソングになっていました。

今は随分方向性が変わってしまっていますが、スタート当初はLyengというイラストレーターのイラストをあしらった小物や衣類、果てはお菓子までラインナップされ、「チカロカ・コンピレーション」というエレクトロニカ系若手アーティストの曲を集めたCDまでリリースしていました。Lyengのイラストの雰囲気と相まって、何か新しいことをやろうとしている感じが伝わってきます。

ただこのイラスト、イギリスのジェイソン・ブルックスというイラストレーターの影響がモロなんですよね。最近の彼女の作品は余りそんな感じでもないんですが。

その辺に「若者をターゲットとした新しい市場」の脆さもあったのかも知れません。

一方その頃アイドル業界でも大きな変化が起こりつつありました。

2007年から少女時代やKARAといった、K-POPブームを牽引したガールズグループが次々とデビューし始めるんですが、この時期のインディーズブームも少なからず影響を与えていたと思うんですよね。

韓国の第2次ガールズグループブームのさきがけになったのはWonder Girlsでしたが(ちなみに、第1次はS.E.SとかFin K.L.の時代です)、少女時代やKARAは明らかにそれまでのガールズグループとは違っていたんです。

長くなってしまったので、その辺の話はまた次の機会に。

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